こんにちは。
早朝の肌寒さが心地よい季節となりました。皆さまはこの夏、いかがお過ごしだったでしょうか。まさに季節の変わり目ということで、部員の中にも風邪気味のマスク姿が出てきました。体調管理には十分お気をつけ下さい。
さて、今回の活動報告を担当させて頂きます、ア式蹴球部3年の中山です。
先日、4年の伊藤から、前期の社会貢献活動の振り返りということで、報告がありましたが、誠に遅ればせながら7月に行われた早慶サッカー定期戦で社会貢献活動担当として取り組んだ、エスコートキッズの子供達との話をさせて頂きたいと思います。
皆さんは大会のオープニングセレモニーで選手達と手を繋いでグランドまで送り届けてくれる「エスコートキッズ」の存在をご存知でしょうか。
そんな大役をア式蹴球部から推薦させて頂いたのは、日頃からサッカー教室などでお世話になっている、知的障がい児支援施設りぼん・りぼんUの子供達です。
まずは日頃の感謝の思いを伝えるべく、早慶戦という舞台を通して共演したい、そして今後リボンの子供たちがなかなか経験することの出来ない機会に対して、我々と一緒にチャレンジしていきたいという思いから実現することが出来ました。
その過程で、やはりさまざまなリスクが想定され、多くの葛藤がありました。
一連の指示は通るのか、広大なスタジアム、騒然とした雰囲気の中で役割を全うすることが出来るのか、セレモニー中に選手の手から離れてグランドを駆け回ることにならないか、ほかの子供たちとのトラブルは生じないか…。
スタッフの方と事前の話し合いを重ねました。それでも、これでいけると確信を持つことは難しいと感じていました。
そういった状況の中で、私達が大事にしたことは、予想外は想定内、関係者と密に連携すること、会場入りから最後まで子供達と向き合うことです。
3つ目は特に注意を払いました。彼らは物事に対して喜怒哀楽を自分なりの方法で明確に表現してくれます。
トイレに行きたい、物音が気になる、今はそういう気分じゃない、楽しみ…。彼らの仕草や我々に向けられているサインに対し、1つたりとも見逃さないように、子供達の会話を絶やさないことを心掛けました。そうしているうちに私たちも彼らとの会話が楽しくなっていました。
いざ本番。
さっきまでのまだ実感のない表情とは一変、彼らなりに雰囲気を感じ取り、大きいお兄さん達に囲まれて歩みを進める緊張感は私達と同じでした。
彼らは当初の心配など無駄であったかのように堂々と歩みを進め、選手にエスコートされながらも最後の写真撮影、退場まで本当に素晴らしいパフォーマンスでした。
知的に障がいを持つ子供達が目の前の「初めて」に向き合う。
このような機会はなかなか無く、活躍の場が制限されていることをりぼん・りぼんU代表の斎藤様とのお話の中でおっしゃっていました。
今回がきっと、彼らが直面するであろう世の中の縮図であったからこそ、私達自身も大きなチャレンジだと感じたのかもしれません。
広大なスタジアム(実社会)と観衆(世論)が作り出す、彼らにとっては独特で、時に異質だと感じてしまう空間の中で歩みを進める(働く、意見する、生活する)。
それは、時に彼らの心をネガティブにし、そのような機会すら制限されてしまうのが社会の現状です。
しかし今回、彼らはその空間に飛び込み、堂々と大役を成し遂げることが出来ました。
彼らは前例を作り、私達のわずかなサポートを使って、彼ら自身で活躍の場を広げることが出来ました。
中には乗り気でなく泣きじゃくりながら選手に抱っこされてセレモニーを過ごした子もいました。
抱っこしていた選手も、実は大変だったと言っていました。でも、その形でも良いのです。エスコートキッズは手を握らなければならないルールはないし、出来ないことはそれぞれが支え合えるはずで、これは我々と彼らの関係だけでなく、どんな場面でも共通して言えることです。
理解のある人が彼らの活躍できる場所まで手を取って導ける、今回のセレモニーのような社会になって欲しいと願っておりますし、0を1に変えた貴重な機会に立ち会えたこを誇らしく思っております。
今年、障がいをもつ2人の議員さんが当選し、国会に参加する資格を獲得したというニュースは、皆さんの耳にも新しいと思います。
これはりぼんの子供達や彼らと似た状況下の方々にとって、大きな希望となり得る素晴らしい前例となりました。これからもっと多様な参画機会を作っていける社会になると信じています。
最後に、今回のエスコートキッズにご協力頂いた、斎藤様、橋本様をはじめとするりぼん・りぼんUのスタッフ及び保護者の皆様、同じエスコートキッズとして一般参加してくださったお子様と保護者の皆様に多大なるご理解とご協力を頂きましたこと、誠に感謝申し上げます。
そして何よりエスコートキッズとして大役を果たした勇敢な子供達に賞賛の意を表したいと思います。
これからも、りぼんの子供達がサッカーを通じて新たな可能性を感じてくれるよう、少しでもサポートできればと思います。
ご覧頂きありがとうございました。
それでは失礼致します。