1年生の時、私は主務になる決断をした。
「自分が主務になる。学連幹事は誰がやる?」
決断というにはあまりにも軽いものだった。
「選手兼主務は大変だ」そうは思わなかった。
なぜ主務になったのかと聞かれることがある。
学連幹事を決めなければという謎の義務感と
大変だと言われる役職への好奇心だった。
ゼロから仕事を教わり、副務として様々な経験をさせてもらった。
どんなに忙しくても組織を動かす仕事にやりがいを感じていた。
サッカーの楽しさを知り、できることも増え、余裕が生まれた。
「選手兼主務は大変だ」そんなことないと思った。
脳内シミュレーションを繰り返し、スケジュール帳と睨み合い
選手との切り替えに苦労しながら進めた仕事は
完成を見ることすら許されずに終わっていく。
あとに残るのは決算と書類の整理。
作るのはみんなにとっての「当たり前」
できる限りの準備をしたつもりだった。
自分にもできると思っていた。
辛さなんて感じていないはずだった。
「選手兼主務は大変だ」甘かった。
試合に出られないことよりも
仕事ができないことよりも
選手にも主務にもなりきれないことが一番苦しかった。
最後の1年、できることは全部やって成長したい。
完璧にそして+αまで求めたい。
割り切れない自分を前に
「立場」を明確にするところから始めなければならなかった。
選手として目を瞑るべきか、主務として追及すべきか。
優先すべきは何か。
誰のためか。何のためか。
散々悩み、多くの人を巻き込んでここまできてしまったというのに
最後に出た答えはシンプルなものだった。
「自分が大切にしたい全てのことのために役割を果たす」
誰のため。その意味は。何のため。正解は。
一つに絞る必要も、全てを明確にする必要もなかった。
知識と経験を全力で伝えてくれるスタッフが
向上心の塊である頼もしい後輩たちが
程よい距離感で支え続けてくれる同期が
認め合い高め合えるGKsが
何事も笑顔で乗り切る副務たちが
私にとっての「当たり前」であり続けてくれた。
そんな「当たり前」が好きで、そして大切だった。
そこに、あるべき立場なんてものは重要ではなかった。
大切だから葛藤する。
大切にしたいからこそ欲張る。
大切だから本気になる。
そんな“今”を大切にしたい。
これまでの人生で一番本気になれたこの場所で
私は私の全てをかけて
“今” 大切にしたいことのために
“今” 全力で役割を果たす。
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“作るのはみんなにとっての「当たり前」”
そんな当たり前のために
彼女は多くの、本当に多くの
時間と、労力を割いてきた。
“チームへの献身”という
揺るぎない経験値を持つ彼女。
選手として、主務として、ではない
選手であり主務である、“川端涼朱として”
大切な仲間の為に、大切な今の為に、
死力を尽くす”今”を絶対に見逃せない。
以上です。
次回もお楽しみに
関