diary-men

「早稲田、いいね〜」4年・井上純平

 

🌟井上純平(イノウエ ジュンペイ)
⚽️練馬FC → 早稲田実業学校高等部

 


 

 

 

息を切らしてさ 駆け抜けた道を
振り返りはしないのさ

 

私の人生のテーマソングだ。
今回だけは少し振り返りたいと思う。
ごめんなさいMr.Children。

 

さて、

早稲田に来てよかった。

これが今の素直な気持ちだ。

 

両親の影響もあり、アメフトやラグビーも含め早稲田の体育会の試合を幼い頃から見てきた。早稲田のラグビー部が社会人を倒す瞬間を見て、「早稲田ってなんかすごい」と幼いながらに感じたのを今でもぼんやりとだが覚えている。早稲田に憧れを抱き始めたのはこの頃からな気がする。

 

中学3年生になる時、そんな早稲田に入る為に私は1年間サッカーを辞め、ひたすらに勉強した。学校に行く前にも過去問を解き、夜は日付が変わっても勉強していた。大好きだったサッカーができず、なかなか成績も伸びない。早実で全国を目指すという目標の為に一旦サッカーから離れたのに、受からなければ全国なんて程遠い学校しかない。それならサッカーを続けて推薦で強豪校を狙ったほうがいいのかもしれない。そんな重圧と戦ったあの1年は本当にしんどかった。

 

それだけの想いをもって早実に入った。でも結局全国には行けず、サッカーから離れた決断が正しかったのかわからなかった。ア式に来ても、全国の強豪校から来る選手達の技術の高さに劣等感を感じる日々が続いた。サッカー辞めずにもっと技術磨けばよかったのかなと思う事もあった。

 

 

でも、大学4年目になった今、早稲田に来てよかったと心から思う。
サッカーもできず、友達との遊びも断り続けたけど、あれだけ死ぬ気で勉強してよかった。
選手権でPKを外して、今後何の為にサッカーをするのかわからなくなったけど、ア式でサッカーをすることに挑戦してよかったと心から思う。

 

なぜか。

 

早稲田という「勝つ組織」で挑戦できたから。こんなに貴重で幸せな経験はないと思う。
早稲田にきたら勝てるわけではないが、歴史を見ても勝ってきた回数が違う。

そんな組織である早稲田の伝統
結果を残し続けてきたチームにだけ残るもの

 

良い伝統、悪い伝統色々あるし、それらを変化させようとする伝統もある。それらを全てひっくるめて、これでもかというくらい感じることができた。実際に4年間で3度の優勝を経験できた。本当に濃すぎる。

 

残せるものがある早稲田という組織。そんな組織で本気で日本一を目指し、葛藤し、もがいた経験はかけがえのないものだと思う。私は大学に来るまで全国大会はおろか関東大会にすら出たことがなかった。選抜なんかほとんど入った事がない。タイトルを獲るとか優勝するというような「勝ち」を経験した事がなかった。だからこそ早稲田で、日本一を取る為に、勝つ為に、必要な事全てを吸収しようと過ごしてきた。自分の意見はないのかと怒られるくらい全て吸収しようとした。視野も広がり、物事の基準も高まった。早稲田だからこそ、成長できた。そして「勝つ」という経験もできた。

 

先日の4年早慶戦の際には、小学校の頃からお世話になっているコーチに「自分はあまり伝統とか考えたことなかったけど、これを見て凄く羨ましいと思った」と言ってもらった。

今自分が過ごしている環境はとてつもなく貴重な環境なんだと改めて感じた。自分達には当たり前になっているこの環境が、傍から見れば羨む程、貴重なものなんだと。

だからこそ最後の1ヶ月、この最高の環境を存分に味わい、もっと濃い1ヶ月にしたい。

 

早稲田に来てよかったと心から思う理由はもう1つある。

それは最高のライバル、最高の仲間がいるから。

慶應という絶対に負けたくないライバルがいる。
早慶定期戦、Iリーグ、アミノバイタルカップ、4年早慶戦。色々な早慶戦を経験した。なぜかわからないが本当に燃える。幼い時から早稲田のユニフォームに憧れていた分、より燃える。色々な思い出が早慶戦にはあるし、そのおかげで成長できた。こんなにプライドを懸けて戦うのも早稲田だから、慶應がいたから。

部員は最高のライバルであり、最高の仲間だ。
本気で厳しい事を言え、本気で期待してくれる。本気で私を変えようとしてくれる。
同期の前でだけふざける奴もいれば、ちょいちょいため口を挟んでくる後輩もいる。
いるだけでいじられる同期もいれば、必死に仕事を手伝ってくれる後輩もいる。
それも含めて最高だ。この仲間から常に刺激を受け、成長してきた。本当に感謝している。だからこそ、そんな仲間と笑って終わりたい。

 

そして、そんな組織のトップチームの試合を経験している私には使命があると思っている。
それはその伝統に自分なりのこだわりを加えて受け継ぐこと。
組織は変化していかないと前進しない。それは今年1年で物凄く感じた。しかし、大切に受け継がなければならないものもある、という事も同時に感じてきた。
実際にピッチで先輩達から感じた早稲田の早稲田たる所以、それに自分の人生で大切にしてきたものを加えて受け継ぐこと。それこそが私の使命だ。

 

「自分の手でチームをどうにかする。」

 

私はサッカー人生でいつもこれを考えていた。

小中高と自分が点を取らなきゃ、守らなきゃ勝てないチームだった。大勢の優秀な選手が集うチームではなく、色々な人がいて、能力がデコボコなチームだったから、仲間の苦手な部分も背負いながら勝たせなければならなかった。

この時期になるとサッカー人生最後の年だし、自分が試合にでたい、アピールしたい。といった、「自分を」なんとかしたいという気持ちが出てくる。もちろんその気持ちは1選手として持ってなければいけない。人によってはその考えの方が自分のパフォーマンスも上がり、結果的にチームの為になるかもしれない。しかし、私は違う。うまく言えないが、私が小学校から大切にしてきたマインドはそれを越えていたような気がする。

チームを勝たせる為に自分はどうするのか。自分の手でチームをどうにかする。自分の手でチームを勝たせる。チームを勝たせる存在であるか。

 

そんな事にこだわり、大切にしてきた。
先輩から感じた「勝つ組織」である早稲田の伝統、憧れてきた早稲田の伝統に、自分にしか出せない色を加えて私は伝えていかなければならない。
後輩がもう敵わないと思うくらい圧倒的に表現しなければならない。

残り1ヶ月、そこにこだわりをもってプレーをする。

 

 

16年間、サッカーを中心に生きてきた。食事も睡眠も全てサッカーを中心に考えてきた。そんなサッカーも、そんな生活も、あと1ヶ月で終わりを迎える。正直そんな生活想像できない。楽しみもあるが寂しさもある。だからこそ、この1ヶ月を本当に大切にしたい。これまでの自分が感じてきた事、大切にしてきたこだわりを全て出し切り、大切な人達と笑いたい。

 

インカレこそは自分の手で優勝に導く。自分がみんなを笑顔にさせる。

 

まだ限界だなんて認めちゃいないさ。