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「小さな瞬間」4年・山口萌香

 

🌟山口萌香(ヤマグチ モエカ)
⚽️浜松市立蜆塚中学校 → 静岡県立浜松北高等学校

 


 

メンタルが強いわけでも、

人より根性があるわけでもなく、
君たちがいるから頑張れる。

選手によく、こんなことを言われます。
「ア式の女子スタッフは、メンタル強いよな」
私はこれを聞くたびに、「わかってないなあ」と感じます。

ア式蹴球部にはたくさんの困難があります。
しんどくて泣きたくなる時もあります。
ただ、私が頑張れるのはそんな苦しみをもかき消すほどの喜びと感動があるからです。
決してメンタルが強いわけではありません。
そしてその喜びは勝つことや感謝されることよりも、もっと近くに広がる小さな瞬間です。

そんな小さな瞬間の中で、私が特に印象に残っている瞬間を以下に綴ります。

 

千葉がスパイクをもってグラウンドにやってくる。
考えてみればもうサッカーができないと告げられた選手が、もう一度こうしてスパイクを履いてサッカーをしています。

ピッチには大きな声で怒鳴り散らす西前の姿。
怪我持ちでア式蹴球部に入ってきた彼は、プレーをする同期を横目に1年にもわたり怪我と戦ってきました。

息を切らす大里は、火照った顔で汗を流している。
1年間怪我と戦い復帰した彼は、今年も思うようにプレーができていません。それでも彼の内に秘めた情熱は、いつだって燃えたぎっています。

みんなが帰ったグラウンドでも、軽快に走る蓮川の背中。
怪我に苦しむ彼は、誰よりもサッカーができる幸せを知っています。そして辛くとも、悔しくとも、決して人に弱さを見せず、今も怪我と戦っています。

 

この瞬間があるから、ここまで頑張ることができました。
この感動のために、私はここまでやってきました。
もしかすると、彼らはもうこの喜びを忘れているかもしれません。
サッカーができる体・環境を当たり前だと思っているかもしれません。

けれど、私にとってこの当たり前の姿こそが頑張る源です。
みんなは私に「強い人間」だと言いますが、本当はそんなことありません。
メンタルが強いわけでも、根性があるわけでもなく
選手一人一人が今ある当たり前を精一杯に噛み締めている姿が、私をここまで導いてくれました。

きっとみんなは、自分たちの姿が原動力であることに気づいていません。
そんな当たり前の姿に感動しているなんて考えてもいないでしょう。
けどむしろ、このくらいの距離感がちょうどいいのかなと思います。笑

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

P.S 昨日、関東リーグ優勝を果たしました。やはり優勝というものは格別だと実感いたしました(笑)