今年のア式は弱かった。
今年の四年生は弱かった。
最上級生になったこのシーズン。
勝てなかった。
今まで先輩方が繋いできた伝統を継承できなかった。
私たちを応援し、支えてくださるウルトラスを裏切った。
尊敬する監督の信頼に応えることができなかった。
後輩に辛い思いを抱えさせてしまった。
互いを信じ合う同期と喜びを分かち合えなかった。
今、私の胸の中にはこれらのことがぐるぐると廻っています。
今回、想いを綴るにあたり、今までのサッカーを中心にして生きてきた人生が走馬灯のように思い出されました。
物心ついたときには、となりに転がってたサッカーボール。
サッカーの楽しさを教えてくれたのは父親でした。父親が私のヒーローでした。
12歳のとき、私はサッカーを続けるために全寮制のチームを選びました。
家を発つ日、一人息子を見て母親は泣きました。母親がサッカーをする上で心の支えになりました。
親元を離れてから、私はサッカーが上手いと思ったことはありません。常に挫折や苦境が訪れたからです。
しかし、サッカーを辞めることはありえませんでした。なぜならば、サッカーは楽しいと思えた自分がいましたし、私の夢を一緒にみてくれる家族がいたからです。
そんな両親が今年の正月帰省のとき「人間らしくなったね」と嬉しそうに言いました。
なぜ両親はこのような事を言ったのか。私は考えました。
その理由はこの早稲田大学ア式蹴球部にありました。
入部してから、私の中の感情を大きく揺さぶる出来事や人に出会い、本気のベクトルが行き交う中で自分の心の扉は開かざるを得ませんでした。でもこの現象は私の人生で最も重要なことになりました。
「人々に明日への活力を与える」「人々の心を動かす」
部が大切にしていることの1つです。人々の心を動かすことができるときは自分の感情を素直に乗せられたときだと思います。そして素直な感情が何のストッパーもなく出たときというものはその人の味が出て「人間らしい」という表現につながるということに気がついたのです。私はこの部に心のストッパーを外されたのです。私の感情が今の行動、今のプレーに出るようになったのです。
私たちは残り2試合のみとなりました。最後の試合が11月12日と決まった今、わがままかと思われるかもしれませんが、自分の素直な感情を綴ります。
インカレ決勝までア式のみんなとサッカーがしたかった。
あと11日でかけがえのないものが終わってしまう。終わりたくない。
未練たらたらです。こんな弱い自分に対し、厳しい言葉が出てくるかもしれません。結果を受け入れられないのはサッカー人として失格かもしれません。でもこの組織は違います。人間の欲や人としての弱さというものを認め、それに向き合わせてくれ、人としての成長につなげてくれます。
私はア式が大好きです。私の青春でした。
弱くたって良い、ダサくたって良い。残り2試合、絶対1部残留を果たすために感情をぶつけます。生き様を示します。