早慶サッカー定期戦直前特集 【第３回】松澤香輝×八角大智
高校３年間を共に過ごしたＧＫ松澤香輝（スポ３＝千葉・流通経大柏）とＤＦ八角大智（社２＝千葉・流通経大柏）。いまはワセダの名を背負い、再び仲間として戦っている。そんな２人に今季の話はもちろん、長年付き合ってるからこそ言える高校時代のエピソードや早慶サッカーへの意気込みなどを語ってもらった。
苦難を味わった前期
八角
松澤 チームとしては、リーグ開幕戦の時に０－１で負けてそこからチームに危機感が生まれて、勝ちを増やすために粘り強く戦えたことで、現在２位というところにいるのかなと思います。
八角 自分たちはリーグ制覇を目標にやっている中で初戦負けて、そこから立て直せてリーグ２位にいることは、満足はしてないですけど、成長した証だと思います。
――リーグ最少失点ですが守備についてはいかがですか
松澤 １試合に１失点以上ということで、１失点だったら追いつくことも逆転することもできるので、チームとしても守備の意識も高かったです。まあ１失点以上しなかったのはきょねんと比べても成長した部分だと思います。
八角 ことしディフェンスラインが大きく変わったなかで最少失点に抑えられたのは、本当にチーム全体で守備の意識が高かったことと１試合１試合成長できていることかなと思います。
――ことしディフェンスラインの４年生が抜けて２年生が多くりましたが、それについてはいかがですか
松澤 特にセンターバック２枚に関しては、本当に競り負けないところや対人で負けないところは、その２人のコミュニケーションやそういった意識も高いですし毎試合毎試合成長しているなと思います。
――八角選手はＤＦとしてことしから出場されるようになりましたが、いかがですか
八角 きょねんは１試合も出ていなかったんですけど、ことしは右サイドバックをやらせていただいて、まずは攻撃よりも守備的なポジションなので失点を０に抑えることを意識してやってきました。４年生が抜けて４人中３人が変わったというなかで、練習からコミュニケーションやセンターバック２人は背が高くないからこそカバーの仕方っていうのは、いつもより強く思って練習している成果が最少失点につながっているのかなと思います。
――今季のリーグ戦で一番印象深いシーンはなんですか
松澤 個人的には３－０で勝った流経大戦は印象に残っていて、きょねんの後期リーグ戦で完全アウェーのなかで悔しい結果に終わったので、そのことに対してたつのこで試合をすることに苦手意識が生まれたんですけど、それを払拭できた試合でしたし、パフォーマンス自体は良かったと思います。リーグ９試合戦ったなかで、一番良いゲームだったと思います。
八角 いっぱい候補はあるんですけど２節の慶大戦。初戦負けてこれ以上負けられないという試合だったし相手は慶應だったので、慶應も初戦負けていてすごくガチガチな試合になるだろうなっていうのが予想されたなか２－１で勝って、ライバル関係にあるチームに勝てたのは嬉しかったです。
――攻撃陣を後ろから見ていていかがですか
松澤 １点を争うゲームのなかで、少ないチャンスもしっかり決めきってくれる選手が前線には多くいるので後ろから見ていて頼もしいですし、守備もほんとにしっかりやってくれているので助かっています。
八角 毎試合強い気持ちでプレーしてくれて、前の人たちは絶対結果を残せるって信じてプレーできるので、すごく頼もしいですね。
松澤
松澤 自分たちの目標としていたものは優勝だったので、出場権は獲得できましたけど７位という結果については納得してはいないですし、僕自身５試合戦って失点も多くて、ピンチを救えるシーンというのもあまり無かったので大会通して満足はしていないですね。
八角 短期集中で試合があったなかで、流経大に負けた後立て直すことができずに法大にも負けてしまったというので、トーナメント戦のチームの弱さや切り替えてできなかったのが、やっぱり課題だと思います。出場権獲得しましたけど、これからより一層そういったところも突き詰めていかないと良い結果は残せないのかなと思います。
――１試合に４失点が２回ありましたが、その原因はなんですか
松澤 連戦による疲労も少なからずあったとは感じていますけど、失点した直後のプレーというのがなかなか上手くいかなくて連続失点してしまうことが流経大戦と法大戦であったので、失点した直後に自分たちが点を取って追いつくだとかが必要だったと思います。守備をその試合のなかで修正できなかったのが課題だったかなと思います。
八角 一番印象深かったのが法大戦の最後に２失点したことで、それも全部自分たちのミスから押し込まれて失点して同点に追いつかれて、その後も切り替えができずに失点してしまって。集中力っていうのをいつもトレーニングから言っているんですけど、そういった緊迫した試合のなかで守り切れなかったのは甘さがあるのかなと思います。
――２年連続でＧＫとして活躍されていますがきょねんとの違いを感じることはありますか
松澤 まずきょねんの４年生はレベルが高かったですし、そういった点ではことしのチームはきょねんに比べて個々のレベルで劣ってしまうというのはあると思います。ただそれをチーム力で補おうという意識は全体にあるので、そういったところできょねんのチームに追いつけるようになってきてはいるのかなと思います。
――お互いのプレーに点数をつけてください
松澤 厳しくいきますよ。４０点くらいで。
――理由は何ですか
松澤 アシストが少ない。あと一回連係ミスしているので、それでちょっと点数低いです。
――八角選手はいかがですか
八角 ３点。関連性はそんなに無いのかなと思うんですけど、アミノバイタルカップの日大戦のミスがすごいもったいなかったなと思っていて。そこからの試合で失点が多くなったのもあるので、ちょっと３点。
松澤 それはもうしょうがないです。言われてもおかしくないパフォーマンスだったので。
――逆に良いところや褒めたいところはありますか
八角 無いです。
松澤 じゃあ僕も無いです。
八角 言えよ（笑）
松澤 言うのかよ（笑）まあ、高校の頃から一緒だったのでわかるんですけど、八角はスタメンのなかでも試合終盤になっても運動量は落ちないですし、本当にチームが苦しいなかでも走ってくれているのでそういうところは評価できるんじゃないですか。
――八角選手は無いのですか
松澤 高校の時と比べて言えよ。
八角 ちょっとだけキックが上手くなった。
松澤 ありがとうございます。
――今シーズンのチームの強みは何ですか
八角 ４年生が抜けて監督からもリーグ前に自分たちは９位～１０位くらいの立ち位置と言われていて、そういった厳しい言葉を言われたので一人一人が自分がやらなきゃという自覚が芽生えたというのはあります。
松澤 同じことになりますけど、きょねんより学年関係無く自分を表現する選手が多くいて、それは良いことだと思いますしそれがチーム力につながっているのかなと思います。
互いの素顔
八角。今季から右サイドバックのスタメンに定着した
松澤 僕はあまり試合に出ていなかったので八角すごいなーと思ってやっていたので、八角については何も言えないです。
八角 こいつは１回駄目になると引きずるタイプなので、それが高校のスタイルからしたら良くなかったのか合わなかった風に思います。俺は逆にどうすれば試合に出れるかを常に考えてやっていました。
――大学に入ってから変わったなと思ったことはありますか
松澤 明るくなったかな。あとはあんま変わんないんじゃないですか。なんかいまだにつかめないですね。嘘ばっかつくし、常に隠し事をしてるようで、謎に包まれてますね。
八角 それはお前に言う必要がないから言ってないだけ。
松澤 違う、みんな知らない。
――高校の時の印象に残っているエピソードはありますか
八角 先輩にぱしられて、３年間でトータル２万円くらいつぎ込んだっていうのがありました。
松澤 本当こいつのエピソードは無いです。
――最近学校生活はいかがですか
八角 友達ができないです（笑）
松澤 そりゃそうだろ。
――学校で何されてるんですか
八角 授業ちゃんと受けてます。一番前で受けるのが好きなんですよ。形から入らないと寝ちゃうんで。一番前でも良く寝てるんですけど。
松澤 僕は単位が危ないので授業真面目に受けてます。
――八角選手はアンケートにゼミ選考について書かれていましたが
八角 ２次選考が始まって（１次選考と同じく）また俳句を書きました。
――なぜ俳句を書かれたのですか
八角 1次選考落ちてそのゼミの教授になぜ落ちたのか聞いたら、今回の選考は個性のバランスを重視して選考しましたと言われて、出過ぎたなと思ったんですけどそこを曲げたらつまらないと思って、もう一回書きました。
――松澤選手は最近ショックなことはありましたか
松澤 財布を盗まれました。つらいです。
――お２人の座右の銘を書いていただきましたがなぜそれを選んだのですか
松澤 『勝負の神様は細部に宿る』は岡田武史さんの名言なんですけど、その言葉好きだなと思って、特に僕キーパーなのでそういった細かいところとかを気にすることでプレーに反映するんじゃないかなと思って、いつもそういったところは、細かいところですけど意識してやっています。
八角 結構哲学とか好きなんですけど、高校生くらいからずっと座右の銘は『今を生きる』です。人間は結局前にしか生きてないのかなと。
松澤 本当に変わってるんですよ。
八角 過去に生きても意味がないので、今を一生懸命生きてます。
――最近のマイブームはありますか
松澤 財布が無くなるまで、一人でおいしいお店に行くというのが趣味だったんですけど、財布が無くなってからは、もうどこも行っていないです。
――どんなお店に行かれるのですか
松澤 基本的にランチは安いので。新宿とかにあるハンバーグ屋さんとかおいしかったなって。
八角 僕は一人が好きなので、俳句を考えることもそうですし、１人で映画を観に行ったりしたり、１人でどこかにドライブするとか、あとは家が近いので上野公園を毎日散歩しています。（上野公園では）走ったり、いろいろ季節によってきれいなものが変わるので、桜もそうですし、あとは美術館があったり、スタバもあったり。池もあるんですけど、池もすごくきれいで。本当にきれいなんですよ。スカイツリーも・・・。
松澤 もうやめとけお前。聞き損ですよ。
――お２人で遊ぶことはありますか
松澤 ないです。それはないです。それだけは絶対にないです。
八角 とか言って、「ご飯行こうよ」とか・・・。
松澤 いやその時はちょうど僕は。
八角 「うまい天丼があるから食いに行こうよ」とか・・・。
松澤 日本橋においしい天丼のお店があったので１人で行っていたんですけど、八角はよく銀座とかぶらついているので。呼んだら来るかなと思っていたら来たので、その時はたまたま一緒に食べましたね。
八角 僕はこいつのことが嫌いなんですけど、こいつは僕のことが好きなんですよ。
松澤 好きじゃない。それだけはないです。
――他のチームメートと遊ぶことはありますか
松澤 僕は基本的にノリが悪いので、最初１年生のころそういう誘いを拒否していて、オフの日もサッカーしようとかも思っていたんですけど、そしたら２年生になってから全然誘われなくなって、遊ぶことはほとんどないです。僕は寝てます。
八角 思い立ったらすぐに行動したいタイプなので、予定立てるのが下手なんですけど、無茶ぶりでも秋岡活哉（政経３＝ＦＣ東京Ｕ－１８）はノリが良くて。この前の冬は、グアムに行こうと思ったんですよ。きょう中に返事してって言ったら本当に返事してくれて、でもインカレの決勝で怪我してしまって、結局僕１人でグアム行ったんですよ。つまらなかったです。結局一人です。やっぱり１人なんだなと。
――最近の面白かったエピソードはありますか
松澤 そういうのは苦手だわ。
八角 この前の試合の後こいつ（松澤）泣いていたんですけど、僕的にはすごく面白くて、あいつ泣いているよ、ブサイクだわ、ってずっと思っていました。
松澤 面白い話ではないですけど、のぞくん（池西希、スポ４＝浦和レッズユース）が上武大戦で怪我をして心配していたんですけど、こいつ（八角）とか結構そういう時に、ふざけている様なタイプだと思っていたんですけど泣いていて、結構いいやつだなと思いました。面白くないですけど、良い一面もあるんだなと思って、見直しました。
八角 こいつがのぞみたいに倒れたら僕は何もしないですけどね。（笑）
――お２人はア式内ではどういうキャラなのですか
松澤 八角はものすごく生意気ですね。敬語とか使わないし、高校の時は同じ学年でしたけど、大学入って２年ですけど気遣えないし、偉そうですね。キングぶっているところがウザいですね。
八角 ちゃんと場をわきまえているからね。いろいろ考えてのことだからさ。
松澤 そうは見えないですね。
八角 （松澤は）雑用係って感じですかね。つまらない、いじられキャラです。
――高校の時はどうでしたか
松澤 いじりがエスカレートしていじめでしたね、完全に。昼飯のときには、だいたい僕の弁当が無くて、友達にだいたい半分くらい食べられていて。そういうやつが１人いたんですけど。昼飯食べようぜと言って僕の弁当を勝手に開けて食べて、結局違う弁当買いなおすという感じでしたね。常に僕の分は無かったです。買ったものの食べられるし、いじめられるし、つらかったです。
――八角選手は偉そうなキャラなのですか
松澤 バスで１年とか２年は３，４年生に気を遣いますけど、遠征の時とかに座れる席をこいつ１人で座っていて、誰も入ってくるなよ、みたいにバックを横にボンと置いて、何も気遣わないです。逆に先輩が、２人のところに座っちゃうみたいな。それでも、気遣ってどこうとかしないですね。
八角 そういうイメージの悪くなることを言うの。
松澤 本当にそういう感じです。
八角 うそです。
松澤 うそじゃないです。本当です。
最後の国立に懸ける想い
松澤。今季も守護神としてrリーグ戦最少失点に貢献している
松澤 アミノバイタルカップで準優勝したので、チームとしてまとまってきていると思いますし、トーナメント戦で戦って勝って力を付けてきたなという印象がありますし、個人の能力も高い選手が多くいるチームで、リーグで戦った時とは全然違いますし、強いなというイメージはあります。
八角 慶大はリーグ序盤は結果を出せなくて、苦しい立ち上がりだったと思うんですけど、リーグ戦最後は連勝していたし、アミノバイタルカップでも何度もPK戦で勝ったりしていて、チームとしてまとまってきているなと印象です。もともと個のレベルが高い選手というのは知っていたので、早慶戦も難しい試合になるのかなと思います。
――どういった試合展開をしたいですか
八角 試合展開というより、自分たちのサッカーがどこまで続けられるかが鍵だと思います。
――八角選手にとっては初めての早慶サッカーとなりますが、特別な想いはありますか
八角 浪人している時も早慶戦を観に来ていて、その時は慶大が前半で１０人になって１－１で後半に入って、すごいエネルギーを出して逆転して勝った試合だったので、僕は慶大に入りたいと思ったんですけど、早大に受かったので。そういう最後まで諦めないというのが慶大の伝統だと思うので、そういったチームと戦えるのは嬉しいことです。 最後の国立ということで、小さいころから国立でやることを目標にしていたし、高校の全国大会で国立でプレーできたんですけど、その時は負けてしまって。昨年の早慶戦も出れていないので、国立に対してはあまり良い思い出が無いんですけど、最後思いを１つに戦いたいです。
――松澤選手にとっては２回目となりますがいかがですか
松澤 僕が入って１年目で慶大に逆転負けをして、２年目は勝つことができて、勝ちと負けを１回ずつ経験したんですけど、勝った時と負けたときは天と地の差があるので、負けたら本当に地獄だし、勝てばみんなで喜び合えるし最高だなというのは感じたので、とにかく勝ちたいなと思いますし、国立でプレーした早慶戦、インカレ決勝で勝っているので、国立でプレーすることに対しては自分自身いいイメージがあるので、はやく試合をするのが楽しみです。
――２人が予想する今年のＭＶＰはどなたですか
松澤 やっぱり点を取った選手だと思うので、前線の選手かなと思うんですけど。ことしは誰になるんですかね。
八角 池西希です。
松澤 じゃあ僕榎本大希（スポ４＝横浜Ｆ・マリノスユース）で。
――応援して下さるみなさんに一言お願いします
松澤 最後の早慶戦になりますし、早慶戦を開催するにあたって裏方で仕事をしてくださり、支援してくださった方々に、勝利することで恩返しができると思うので、慶大に絶対に勝てるように頑張りたいと思うので、応援お願いします。
八角 国立は特別な舞台なので、そういったスタジアムでプレーして、多くの友達も観に来てくれるので、そういった人たちがいて今の自分があると思うので、勝ってそういった人たちに恩返ししたいなと思います。
――早慶戦に向けての意気込みをお願いします
松澤 無失点で勝てるように頑張ります。
――得意の俳句でお願いします
八角 早慶戦が終わった後に言います（笑）。
――ありがとうございました！
（取材・編集 伊藤なつ実、栗田麻里奈、松下優）
松澤選手（左）と八角選手。写真のコンセプトは仲良くしようとする松澤選手とそれを嫌がる八角選手らしいです
◆八角大智（はっかく・だいち）
１９９２（平４）年４月１５日生まれ。１７３センチ、７１キロ。千葉・流通経大柏高出身。社会科学部２年。今シーズンからスタメンに定着した八角選手。持ち前の豊富な運動量を武器にチームに貢献しています。俳句が趣味だと語る彼の日課は上野公園に行くこと。独特な感性を持つワセダの成長株に注目です。