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インカレ特集~四年生の想い・大井美波~

「ゴリゴリッ」
大学最後のシーズン、最初の対外試合で膝から1度感じたことのある音が聞こえた。
(あぁ。終わったな。)
その一瞬で目の前が真っ暗になり
思い描いていた大学4年のラストシーズンは
呆気なく消え去り、長期離脱からのスタートとなった。

私は早稲田大学へ入学する直前、高校3年生最後の選手権の2週間前にも同じ怪我をした。

最後の大会直前での怪我…
虚しさ、悲しみ、後悔、怒り
言葉では表せない感情だった。

しかし、みんなの前では
沈んだ姿を見せることなんてできなかった。

毎晩1人、寮の近くの公園で
脚を見つめながら考えていた。

でもふと気づいた。

『選手権直前に怪我をしてしまったことに目を向けるんじゃなくて、この直前までみんなとサッカーが出来たことが財産だ。』そう思うことができた。

それは仲間が最後の大会に向けて
どれだけミスしても怒られても
サッカーに全てをかけて
ボールを必死に追いかける姿を見て
下向いても何もない。
前を向かないといけない。
そう思わせてくれた。

今回のシーズン初めの怪我をした時も
落ち込み、現実から目を背け、受け入れられない日々が続いた。
術後の左脚の痛みよりも
全く力の入らない脚を見る方が辛かった。

あんなに大好きだったサッカーを
見たくない日もあった。
誰とも会いたくない日もあった。
なんでこの時期に…
なんでサッカーさせてくれないの…
なにがいけないんだ…
そんなことばかりが頭を循環していた。

だけど、グランドに行くと
全力でボールを追いかけ
仲間とぶつかり合い
サッカーをしているみんながいた。
練習前や練習後にも
一つ一つのプレーを思い返し
試行錯誤してる皆んながいた。

その時思った。

いつまで逃げてんだ。
早くスタートしないといけない。

皆んなと1日でも早く
サッカーがしたい。
皆んなに負けたくない。
競い合い、認め合い、成長し合いたい。
慰めや心配の言葉じゃなく、
サッカーに対する
ア女の一人一人の熱い姿勢が
そう思わせてくれた。

自分の身体を見直す機会だと。
怪我する前よりもいい状態で復帰してやる。
またこの最高の仲間達とピッチに立つ。

サッカーが出来ないことではなく
リハビリが進む中で
出来ることが1つずつ
増えていくことに目を向けた。

そして、9月20日。
周りのたくさんの人のおかげで
オペから半年で早期復帰を
実現することができた。

いま、インカレを目の前にして
うまくいかない状況や
納得の出来ない状況にあることで
悩んでいる仲間はたくさんいると思う。
ベッドに入ってからも
寝たくても頭の中は
サッカーのことばかり。
思い通りにいかないことばかり。

でもどんなに落ち込んで悩んで
どこにもぶつけられない感情が湧き出ても
ア女のみんなは
絶対諦めないし、絶対やれる。
胸を張ってそう言える。

だって、みんなのサッカーに対する姿勢は
いつだって本気だから。
見てる人に力をくれたから。

悩んで、もがいた分
絶対に成長しているから。

1年生
入学してから何も分からず疑問も抱きながらも、私たちに付いてきてくれてありがとう。
1年間部荷物や準備、本当にありがとう。
一緒に迎える最初で最後のインカレ
思いっきり楽しもう!

2年生
トンチンカンな人達が多いけど、いざとなったら本当に心強い学年です。
内に秘めた思いをこのインカレでぶつけて、後悔ない通過点にして欲しい。

3年生
サッカーでは引っ張れてない。
この悩みを抱き続けていたんじゃないかな。
でもどの学年よりもお互いがお互いを知っている学年だと思う。
この1年、確実に全員が驚くほど成長した。
それは悩んでも悩んでも
何度も前を向いたからだと思う。
一緒に挑める最後の大会。最後までどうか力を貸して欲しい。

4年生
ありがとう。この言葉に尽きる。
口下手で負けず嫌いで頑固で強がりな学年。
でもサッカーや仲間に対する想いは人一倍強く、必ず有言実行する人の集まり。
そんなみんながいたから今の自分が居る。
みんなが居るからこそ
胸を張って4連覇すると言える。
見えないけど
信じることのできる力をくれて
ありがとう。

こんな素晴らしい環境で
素晴らしい仲間達と
大学最後の大会に挑みます。

私たちならやれる。
サッカーに捧げたこの4年間。
その全てをこの大会で出し切ろう。

そして、1年生の時に掲げた
4連覇を成し遂げよう。

どんな時も支えて励ましてくれた家族。
怪我した時に自分のことのように
涙を流してくれた後輩。
何気ない一言で笑顔にしてくれた仲間。
また競い合いたいと思わしてくれた同期。
頻繁に声をかけてくれたスタッフ。
スパルタで追い込み、わがままを聞いてくれたリハビリの先生。
数えきれない程のたくさんの人に感謝を伝え
最高の恩返しするためにも必ず優勝する。

どんなに苦しい状況になっても
私たちなら大丈夫。
前を向き続けよう。

その先には必ず日本一の景色があるから。


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「友達」とは、なんか違う。
そんな「仲間」の存在が、彼女を再びピッチの上へと導いた。
その違いは、何か。
活躍を素直に喜びきれなかったり、自分と常に比較して羨んだり
「仲間」の存在には時として、嫌な自分を自覚させられる。
しかしそれ以上に、どれだけ下を向こうとも、
必死になってもがき、戦う、その姿を見るだけで
自分の中にある、まだ消えきらぬ情熱に気付かされるのである。
彼女も、そうして仲間から力を受けた一人であり、
そしてまた、仲間に力を与えた一人でもある。
異例とも言えるスピード復帰は
彼女の並々ならぬ努力なしでは、実現しない。
彼女のその強い想いが、人知れず努力を重ねる姿が、
どれだけ多くの仲間の心に響いたのだろう。
また一つ、大きな試練を乗り越え成長した彼女の姿は
再びピッチに舞い戻り、見る人の心を震わせる。

以上です。
明日もお楽しみに!
それでは、失礼します。
阪本