interview-vol3

【特別企画】徳永選手インタビュー

2012年9月11日、東伏見にて徳永 悠平選手(平成18年卒)と現主将の畑尾 大翔の「早稲田大学ア式蹴球部 新旧主将対談」が実現しました。

ロンドン五輪でOA枠としてメンバーに名を列ねた徳永選手。
この選出は世間にとっては予想外の「サプライズ選出」であり、少なからず驚きをもって受け止められました。
しかし、徳永選手は関塚監督の期待通り五輪経験者として堅実なプレーで最終ラインに安定感をもたらし、プレーで存在感を示し続けました。

現役主将との対談を通して日本サッカー界の第一線で活躍する大先輩の貴重なお話を伺う事ができました。

 

- ロンドン五輪お疲れ様でした。振り返ってみていかがでしたか?
 
【特別企画】徳永選手インタビュー写真1徳永 やはり結果としてメダルが届きそうなところまで行ったのに、獲れなかったというのが残念でしたね。その思いが一番強いです。
 
- アテネに出場されたのが早稲田大学在学時の3年生の時ですよね。今回はOA枠ということで、全く違った立場での選出となりましたが。
 
徳永 前回のアテネ五輪は自分が怪我をしてしまったということもあって、あっという間に終わってしまいました。あまり「大会に参加した」っていう実感がないまま終わってしまったという感じで。それに比べると今回は充実していましたね。全部で6試合やれて、その中で5試合に出られましたし、すごい年が離れた中でやったっていうのもあって。
 
畑尾 周りと年が違うという中で、その部分でも大変だったんじゃないですか?
 
徳永 自分としてもあまり年上っていう意識をさせないようにしていましたし、周りも普通にいじってきたので、自分としてはすごくチームに馴染めていたかなと思います。楽しかったですね。
 
畑尾 何か現地での苦労とかありましたか?
 
徳永 移動が長かったですね。中2日というスケジュールの中で、バスで半日移動とかはさすがにきつかったです。そういった部分でのタフさが必要な大会だったと思います。タフさを身につけてないと最後にやっぱり疲れちゃうというか。
 
- 今回監督が関塚隆さん、団長が原博実さんということもあって、徳永さん含めた3人の大先輩が関わっている大会だと我々後輩も注目していたのですが、お二方との間で何か話をされたりしましたか?
 
【特別企画】徳永選手インタビュー写真2徳永 原さんはFC東京でずっとやっていたこともあって、すごく気にはしてくれていましたね。終わった時に、「ベスト4まで行ったんだし、まぁ来て良かっただろう!?」って言ってくれて、その言葉が一番印象的でしたね。関塚さんは日頃からもずっと話をしていて、一番年上だからということもあり、コンディションのことも気にかけてくれたので助かりましたね。OAっていう中で、自分としても最初は不安も結構あったんですけれど、関塚さんがいつも気を使ってくれていたのでそういう意味ではすごい楽でした。早稲田の先輩が監督で良かったと思います。
 
畑尾 オリンピックという短期決戦の中で、ターニングポイントだったと感じる試合はありますか?「この試合の勝敗がベスト4まで繋がった」みたいな。
 
徳永 初戦のスペイン戦ですかね、やっぱり。一番強いと思っていましたし、組み合わせでたまたま初戦ということもあって、そこで勝ったことは大きかったです。短期決戦だからこそ、そこの勝利で勢いに乗っていけたかなと。
 
畑尾 スペインに勝ったということが大きかったと思うのですが、日本人サポーターだけではなく現地の方々が日本を応援してくれているという印象を、テレビを通して強く感じました。
 
徳永 そうですね、それは感じましたね。やっぱりサッカーが好きな国なんだなと思いました。良いプレーにはみんな拍手を送ってくれるし、満員の中でやれたのもあって、そういう意味でもすごく充実した大会でした。
 
- 少しアテネ五輪の時のことについてお聞きします。同世代とはいえ「大学生でオリンピックに出る」というのはどういう感覚だったんでしょうか。
 
【特別企画】徳永選手インタビュー写真3徳永 もちろん周りがみんなプロで、自分がアマチュアっていうことでプレッシャーはありました。それからプロでない分責任感に欠けたりだとかそういう風に思われるのがすごい嫌で、だからこそ人一倍じゃないですけれど気持ちの入ったプレーをしようと心掛けていました。ただFC東京でJリーグに出場させてもらったりもしていたので、不安っていう部分ではそんなに感じなかったですね。
 
畑尾 在学中にオリンピックや強化指定などチームを離れることが多かったと思いますが、個人とチームとの葛藤や不安があったかと思います。当時を振り返って長期間チームを離れることに対してどのようにに捉えていましたか?
 
徳永 2、3年の時は単純に高いレベルでサッカーをできることがすごく嬉しかったです。良い環境で成長したいって思っていたので。それが4年になってキャプテンになって、チームやいろんな人のことを考えるようになりました。サッカー界でもそこまで若いとはいえない22・3歳というタイミングで、自分のレベルアップを優先するのか、それともキャプテンとしての責任を全うするのかっていうのは難しかったし悩みましたね。どっちが良いのかというのは分かりませんが、個人的な意見としては、4年の時に1年間早稲田でしっかりキャプテンとしてやれた経験が今も活きていると思います。チームのことを考える中で自分自身もすごく変われたし、その経験は無駄じゃなかったと思います。
 
- 「新旧主将対談」ということで、現役主将にかける言葉があればお願いします。
 
【特別企画】徳永選手インタビュー写真4徳永 僕はそんなにアドバイスできる立場でもないですが、“あまり気負わずに”ということですかね。早稲田っていうとたくさんのOBがいる中で、少なからずプレッシャーもあると思いますが、自分らしくやれば良いんじゃないですか。精一杯やればみんなついてきてくれると思うし、やっぱり一番はピッチの上でしっかり自分のプレーをすることだと思います。今、FC東京でも選手だけのミーティングがあって、そういうところで話すこともそうですけれど、やっぱり日頃の練習だったり試合だったり、ピッチ内で話せることが大事かなと。要はグランドの上での自分のプレーや、サッカーをやりながら修正する声とか、そこで自分を出せればなと思います。
 
畑尾 僕たちの代は4年生として、周りをどれだけ巻き込めるかが大切だっていう話をしています。シーズンが終わる試合や大事な試合の時に、下級生から「4年生のために勝とう」っていう言葉や思いが出るようにっていうのを、練習の時から意識してやっていこうと。当時、そういう部分で意識していたこととかはありますか?
 
徳永 4年生が引っ張っていかないといけないっていうのももちろんあるんですけれど、試合に出ている選手、出ていない選手関係なく、学年も関係なく、全員で勝ちたい気持ちとか結果を残したいという気持ちがあれば自然に練習も盛り上がっていくと思うし、そういう雰囲気が自然と出来てきたら良いチームになるんじゃないかな、と思います。「4年が引っ張っていく」っていうよりは、みんながそういう気持ちになってくれた方が良い結果がでると思うので、全員が同じ気持ちでチームの一体感を出せる日が来ればいいと思います。
 
- プロからの誘いもあった中で高校から早稲田に進学して、大学サッカーからプロ入りしたという経緯の中で、大学サッカーの長所や短所を感じる部分があれば教えてください。
 
徳永 短所からいうと卒業するころにはもう22歳なので、その頃には同世代にバリバリ世界でやってる選手もいるし、高校卒業してからプロになって良い環境でサッカーやってる選手もいるし、その「経験の差」っていうのはやっぱり認めなきゃいけない部分だと思います。だからプロを目指しているっていう選手は、危機感は持ってほしいですね。逆に長所としてはサッカー以外にもいろんな経験が積め、人間としては大きく成長できる場だと思うので、僕自身「大学を出て良かった」という思いはあります。
 
畑尾 大学の中でも、早稲田だからこそ良かったと思うことはありますか?
 
徳永 早稲田で良かったというのは、どちらかというと卒業した後に感じることが多いですね。サッカー界にはすごい早稲田のOBの人たちがいますし、サッカー界に限らずいろんなところに早稲田の人がいてみんな応援してくれます。早稲田っていうだけで「頑張ってね!」といろんな分野で活躍している人にそう言ってもらえて、やっぱり嬉しいし、早稲田で良かったと思います。
 
【特別企画】徳永選手インタビュー写真5- 最後に現役部員へのメッセージをお願いします。
 
徳永 僕も今回オリンピックに行って感じたことですが、長いリーグ戦、試合に出ている11人だけじゃ戦えないと思います。だから、常にみんなが良い準備をして、日頃はゲームに絡めてない選手も、チャンスをもらった時に力を発揮する事がチーム力を上げるためには必要だと思います。僕だけではなく、たくさんのOBの方々がみなさんの活躍を期待しているので、是非みなさんひとつになって頑張ってください。良い報告が聞けることを楽しみにしています。
 
- ありがとうございました。