早慶サッカー定期戦直前特集 【第4回】上形洋介×近藤洋史
今季のワセダの攻撃において欠かせない存在である3年生コンビ・FW上形洋介(スポ3=東京・早実)と、MF近藤洋史(スポ3=名古屋グランパスU―18)。早慶戦でもキーマンとなることは間違いない。3回目の早慶戦を前に、さまざまな思いを伺った。
危機感と共に戦った前半戦
――関東大学リーグ戦(リーグ戦)前期を2位で折り返しましたが、振り返っていかがですか
近藤洋 チームの順位としては1位ではないんですけど、優勝を狙える位置にいます。始まる前は昨年から主力の選手が多く抜けた中で、実力的には10~12位だと言われてました。そこからシーズンでしっかり戦えて2位という優勝の狙える良いところについているなとは思います。でも個人としては1ゴール1アシストしかしてないので、もっともっとゴールに絡まないといけないと思います
上形 シーズン立ち上げ当初は10~12位のチームと言われていて、そういう監督の言葉で一人一人の危機感が生まれたと思うし、現在1位になれていないですけど次の直接対決で専大を倒せば1位になれるし、良い位置にはいるとは思います。個人的にも最初はスタメンで出られなかったんですけど、スタメンで出て最初は結果を残すことができてもまだチームには全然貢献できていないと思うので、もっと頑張りたいと思います。
――チームとして桐蔭横浜大戦がうまくいかなかった印象ですが、いかがでしたか
近藤洋 うまくいかなかったですね。昨年学芸大に負けた時もそうですけど、順位が下のチームのとき、試合の入りとか、本当にそういうところから良い内容の試合ができないし勝ちきれないというのがあります。最後の最後で優勝争いしているときにあのとき勝ち点取っておけばと思うことがあるので、1試合1試合この試合に懸ける思いで戦ってはいますけど…。今回ああいうふうに桐蔭横浜大に引き分けることもあったので、後期はそういったことがないようにしっかり勝っていかないと優勝というのはできないと思います。上位だけでなく全ての試合で勝ち点3を取りこぼさない意識が重要だと思います。
上形 あの試合は確か1―1の場面で残り15分くらいで出させてもらって、自分のところにビッグチャンスが来たんですけど、シュートまで良い形で行けなくてトラップを失敗してしまいました。決めてればあれは普通に勝てた試合だったし、試合が終わった後に責任を感じていました。その次の試合から自分が出られるようになって、あの試合への責任を感じてたというのもあるんですけど、責任を果たせるようになって少し進歩できたのかなと思っています。
――専大が今季もずっと首位に君臨しています
近藤洋 専大は普通に一人一人が上手いし、攻撃にも速くてうまい選手がいて、ボール動かすスピードなど本当に強い相手で毎年やられてるので、今の守備だったらあんまり…もっと高めないと勝てないし、質の高い選手がたくさんいるので今の時期にもっともっと高めて行かないと勝てないんじゃないかなと思います。
上形 個々で全然下回っていると思うし、チームとしてもやるべきことを徹底して攻撃攻撃で来るチームなので、自分たちとはあまりタイプとしては似ていないチームなんですけど。でも個で勝てるような力を次の試合までにまだまだ時間があるので付けられたらいいなと思います。
――リーグ戦で印象に残っている試合を挙げるとすると
近藤洋 開幕戦の順大にラストに入れられた試合と、明大戦の希くん(MF池西希、スポ4=浦和レッズユース)がラスト入れた試合とその2つは結構印象に残っています。一瞬の隙でやられて一瞬のすきでやり返して…みたいな。「いつも勝負は一瞬で決まる」と監督は言っているので、それが出た試合だったと思うし、順大に開幕戦でやられたからこそ危機感が生まれてその後に勝ちにこだわることや隙を見せない点などに力を入れられたから、明大にああいう風に勝てたのかなと思います。
上形 全部言われちゃいました(笑)。全くその通りで、その順大の試合で危機感が生まれたんだと思います。
近藤洋 他ないの?
上形 他ねー、あ、流経大戦とか、自分結構流経大戦ですね。初先発で、しかも3―0という結構完璧な試合ができたので良かったです。
――今季のチームの強みは
近藤洋 毎年真面目さとかそういうところで相手に勝っていると思います。あとはそうですね…明大戦もですけど、全員が最後まで諦めない姿勢だったりとか走り切る姿勢だったりとか本当に単純なところですけど、他の大学よりもそういう面で球際の強さとかいけたりとか。そういうところだと思います。
上形 昨季はチームの軸みたいな人が結構いたと思うんですけど、畑尾くん(DF畑尾大翔、平25スポ卒)であったり、ゆずくん(MF島田譲、平25スポ卒=現ファジアーノ岡山)とかとみくん(FW富山貴光、平25スポ卒=現大宮アルディージャ)とか。でもそういう人がいない分、全員で守ったり全員で攻めたりとかそういう部分は昨年よりあるかなと思います。それが失点が少ないのにも繋がってると思うし。
――では逆にチームの課題は
上形 個の力です。
近藤洋 そうですね、個の力ですね…あと、試合の流れの中でいまこうだからこういうプレーしようとか適切なプレーをする力とか。昨年なら例えばプレッシャーいけてないところでゆずくんが行ったりしてて。ゆずくんが相手に思いっきりプレッシャーかけて、それを見て回りもゆずくんがすごく行ってるから行かなきゃとか。チームとしてうまく行けてないときに、誰かが示すじゃないですけど、そういうことができればチームとしてもっともっとできると思います…。それができなかったのが桐蔭横浜大戦で、最初から入りが悪いのはわかっていながらうまくできなかった感じでした。
上形 そんな悪かったの?
近藤洋 悪かった。なんか、開始が悪くて、相手にボール動かされて全然プレッシャー行けなくて、俺とかも全然行けてないから、プレッシャーかけようとして逆サイドの貴司(MF近藤、スポ3=三菱養和ユース)も分かっていて、めっちゃプレッシャー行って変えようと思ったけど他の人があんま気付いてなかったのかわかんないけど、なんか緩くて、結局先制点とられてそっから慌てるみたいな。最悪です。まあ流れっすね。
上形 うん、流れっす。
――前期を振り返って、自分のプレーについてはいかがですか
近藤洋 もっと点をつくる、アシストをするとか、チャンスをつくることをもっと回数を増やしたいと思います。やっぱり昨季出て今季も出てるので、その経験をやっぱり生かさないといけないと思うし、普通のプレーじゃダメで、もっと上のレベルでプレーしなきゃダメだと思います。
上形 まずもっと相手に怖がられるようなプレーを増やしていかないと思うし、後ろ向きでのプレーは怖くないと思うのでゴールに向かうプレーというのをもっと出して行けたらなと思います。あとは苦しい時間に、もっと前で収めて時間つくってあげないと。流れが悪い状態でまた跳ね返ってまた押し込まれる時間帯ができていたのは結構自分の責任でもあるので、そういうとこをもっと体張って収められる選手になりたいと思います。
――リーグ戦を通して成長できたなと思うところは
近藤洋 昨季は他の人が中心となっていて、自分はついていくというか、そういう感じだったんですけど、ことしはチームがちゃんと勝てるように守備でも攻撃でも中心となってやるという意識もあります。チャンスをつくるっていう面では昨季よりもずっとつくれているんじゃないかと思いますね。
上形 昨年のリーグ戦は1点も取れなかったので、まずリーグ戦で点を取れたというのは目に見える成長だと思います。あとは自分が点を決めてやろうっていう気持ちを持ってやれていることだと思います。
――近藤洋選手はことしからキッカーを務めていますが
近藤洋 CKを蹴っているので、チャンスになればと思っています。
上形 キックがうまいので。
近藤洋 いや、高校のときから蹴っていたので…。CKやFKからもっともっと攻撃のときに相手の脅威となるようなボールだったり、CKがもっとチームの強みになるような、CKになれば点が取れるみたいな、そういう風になるようなボールを上げることは毎回心掛けています。
上形 キッカーってかっこよくね?かっこいいですよね。
――上形選手のFWレギュラー争いはかなり激しくなっていますが
上形 すごい激しいです。きょねんもすごく激しかったんですけど、ことしも新1年生のすごい選手がまたFWに入ってきたんで、またさらにFW争いが激しくなっていると思います。
他にない自分だけの武器
――上形選手は昨年は後期リーグ戦には出られませんでした
上形 後期の開幕の3日前に急に変わって…。
近藤洋 そうだっけ?
上形 うん、正直焦りしかなくて…。いま思うとあのときは出なきゃっていう一心で。結構がむしゃらにやっていたんですけど。今思うとああいう出られない時期にもっと考えてなんで出られないのかとかもっと課題見つけて取り組んで、そういうときしかできないこともあったと思います。まあそういう状況に立たされたら、がむしゃらになっちゃう気持ちはあるんですけど…。一回自分を見つめ直してもっとやっていけたらよかったと思います、いま思うと。
――振り返ってみてなぜ出られなかったと思いますか
上形 普通に自分の実力不足です。瑛ちゃん(FW片山瑛一、スポ4=埼玉・川越)であったり、秋岡(FW秋岡活哉、政経3=FC東京ユース)であったり途中出場には欠かせない選手には自分の目に見える武器があったので、そういう選手が途中から出ることによってチームの流れとかも変わったりすると思うし。自分にはたぶんそういう力がなかったのでそういう結果になったのかなと。
――開幕前に主将らから一番期待している選手に名前が挙げられていました
上形 いや、自分的にはまだ全然努力が足りていないと思います。そういう風に映っていたなら良いと思うんですけど、自分的にはまだまだです。いや、まあやってましたけど、自分で努力したとか言えないじゃないですか(笑)。練習好きなのでやってます。
――特に何の練習が好きですか
上形 シュート練習です。試合で決められるように頑張っています。
――3年になる前に決意したことなどありますか
上形 レギュラーで出るって決意してたんですけど、実際開幕のときには叶わなくて。いまも瑛ちゃんが戻ってきたらどうなるかわからないんですけど、まずは最初から出て点を取って、チームの勝利に貢献するというのが自分の全てだと思うので、まずはゴールです。
―― 一方で、近藤洋選手は昨季からずっと試合に出場し続け、今季も全試合フル出場でした。何が監督に評価されていると思いますか
上形 洋史は本当に監督に信頼されてる。
近藤洋 守備で適切なポジションをとって相手にプレッシャー掛けることや、ボールを前に運んでチャンスをつくることだったりとか、なんか感覚みたいな…?(笑)
上形 得点のチャンスをつくれるってことと、守備は一回監督が皆の前で『洋史みたいにやれ』って言ったこともありました。
近藤洋 あ、サッカー感ですね。
上形 みんなのお手本です。
近藤洋 適切なポジションを見極めてとって、ボールの移動中に相手に寄せて、みたいな基本的なことをしっかりとできて、それをさらに質高くやるというのをやっているからだと思います。
――ケガもあまりしないですね
上形 なんて言っとく?ちゃんとケアしてるからって言っとく?(笑)球際までいかないから?(笑)
近藤洋 行ってるから!(笑)
上形 なんでケガしないんだろうねー。
近藤洋 ケガをしないんです、なんか。
上形 1回したけどタイミング良かったもんね。
近藤洋 そう、1回ケガして2ヶ月くらい離脱したんですけど丁度オフシーズンで。1月と2月ぐらいだったんで試合には影響なくて。まあケガはしないっす。ケガ…何のケガすんの?
上形 俺もケガあんましないよ。
近藤洋 なんでみんなケガするんだろう。疲労とか…蓄積?疲労はたぶんあまり蓄積しないというか。そういう身体なんです。
上形 身体?(笑)
近藤洋 身体作りをしてるんだ!そういう身体作りをしてるんだ俺は(笑)ケガをしないために日々努力してるってことにしておいてください。
――では、上形選手の強みはどういったところだと考えていますか
上形 強みかー。ゴール前のプレーですかね…。
近藤洋 ゴール前でのプレー?
上形 監督に言われたのは、ゴール前での落ち着きとかそのシュート精度とか、そういうのはお前の強みだって言われていて。出られないときに監督に1回電話したんですけど、なんで出られないかっていうのを聞いて。それで、秋岡にはスピードあるし片山さんにはフィジカルがあるし、俺は何も強みないっすよって結構話したら、そしたらなんかそういうことを言ってくれて。ああ自分にも強みあるんだなあって。
近藤洋 決定力でしょ。点をとるということに関しては。
上形 昔から点はとれるよなお前みたいな感じだったんですけど。だからなんか嗅覚とかゴール前のポジショニングとかその辺はちょっと意識してる。ゴール前でのプレーですかね、まとめると。
――監督にそう言われてからゴール前のプレーを高めようと意識されましたか
上形 前から結構練習の中で意識はしながらやっていたのを監督もわかってくれてて、お前はそういうことを練習以外の時間でもしっかりできてるから、そういう強みがあるんだからもっと磨いていけって言われました。それがすごく励みになってもっと頑張ろうっていう気持ちになりました。
――上形選手もあまりケガしないですね
近藤洋 けどなんかケガしてんじゃん(笑)いつもアイシングとかしてるよね。
上形 小さいケガはするんすけど。
近藤洋 テーピングとかしてるし、なんか巻いたり。
上形 結構我慢しながらやっています(笑)
近藤洋 俺はそれすらないからね。
上形 そうなんだよね。
近藤洋 俺アイシングすることもそんなないしトレーナーにテープ巻いてもらうこともないなあ。
上形 ケアルームにいないもんね。
近藤洋 ケアルームに基本行かないです。今季一回も行ってないです。
上形 なんで?自分はちょいちょいケガするんですけど、その痛みの限界はもっと上にあるって…監督が前に言ってたよね(笑)痛みの限界はもっと上にあるって。やろうと思えばやれるって。
近藤洋 疲労の限界も上にあるし痛みの限界も上にあるってことか…。
上形 もう歩けなくなくなったらやめます(笑)
――ワセダのセレクションではすごく体力が重視されると聞きましたが
近藤洋 みんな体力ありますね。びっくりしました。ワセダはすごく走れる人が多くて、こんなに走れる人いっぱいいるんだと思いました。
上形 みんな走ります。俺走れないっす。
一同 (笑)
上形 まじまじまじ(笑)まじで(笑)
近藤洋 俺は試合では走れるけど、走りは走れないです。
上形 みんなすごいんですよ。
――でもセレクションにちゃんと受かっているということは走れるはずですよね
近藤洋 走れんのかな…。一発(で受かった)?
上形 俺一発だよ。ひろし1回落ちた(笑)
近藤洋 俺1回落ちた(笑)入れなかったんです。
上形 こいつ、10周インターってあるんですけど、インター10本やんなきゃいけなくて、入れなくても一応10本やりきるというルールがあるんです。なのにこいつ8本目入らなかった瞬間ふてくされて帰った(笑)あれ今思うと実際やばくない?
近藤洋 ああーっつってそのままスパイク脱いで帰った(笑)
上形 こいつ、とがってんなって思いました。こいつまじでやばいなと。
――次の日また受けに行ったのですか
近藤洋 そうですそうです。そのとき真くん(MF山中真、平24スポ卒)がキャプテンで、一応入れなくても10本目まではやりましょうって注意されました(笑)
上形 みんな当たり前のように走ってるのにね。
――話は変わりますが、前回王者として臨んだアミノバイタルカップは7位で終えました。全体を振り返っていかがでしたか
近藤洋 もう7位という結果がダメで、表彰式のときとか、ああーみたいな…。明大と慶大が決勝やってるのを見てて思いました。昨年優勝しているのに、ことしなんかぎりぎり出場権獲得みたいになっちゃって。情けないというか…。表彰式に7位として参加するのがすごく嫌でした。
上形 やっぱ7位という結果はぎりぎり全国に滑り込んだ形で…。優勝目指してたというのもあるし、屈辱的な順位でした。味わったことのないようなプレッシャーがあったし、負けたら終わりっていう試合が続いてリーグ戦とは違うプレッシャーの中で試合が続いたし、連戦ってことで体がきついのは当たり前ですけど、精神的にも結構きつかったです。ああいう中でも自分の最高のプレーはできなきゃいけないなと思いました。自分はこのアミノバイタルカップは全然ダメだったので、成長が必要だと思います。
近藤洋 まじだな。
上形 まじだめだった。気合い入れていこう。
近藤洋 緊張とかあった?
上形 いや緊張はないけどプレッシャーはあった。
近藤洋 あんま感じなかった。
上形 まじで?(笑)
近藤洋 プレッシャーの中で自分が出せなくなるとかはなくて、自分のプレーはアミノバイタルの中でできたと思います。チームとしてそういうプレッシャーを背負っている選手もいて思うようなプレーができないっていうのを、自分のプレーとか声とかでもっと良いプレーができるようにしたいです。そういうのをやってかないと、流経大に負けて法大に負けて、連敗していく中でチームの雰囲気とかも自信がなくなって。そういうところでもっとチームが良くなるようにできればなって思いました。
――上形選手は流経大のマークが執拗で自分にとってためになったとおっしゃっていましたが、どう生かしていきたいですか
上形 流経大戦は結構意識されてる感じがあって、実際相手のCBが競り合いでかなり強くて全く勝てなくて…。もっと競り合いで勝つ確率を上げるっていうことと、ゴール前に入って行くときに、9番が動くぞっていう風に言われてたんですけど、その中でもピンポイントで合わせていけるように、ゴールへの入りだったりそういうところをもっと延ばせていこうと思いました。あと、洋史とかはうまいんですけど、ボールが来る前にもっと周りを見て、次のイメージをしとかないとプレッシャー速いんで回り見ていないと囲まれちゃって。
近藤洋 やばいの?
上形 ない?(笑)
近藤洋 ない。全くない。むしろなんかプレッシャー速れば速い程、かわしてやろうって思う。
上形 まじで?(笑)
近藤洋 緩いとそれにこっちも合わせちゃいそうで…。自分たちから出して行かないと行けないけど、プレッシャー速いとそれだけ相手も来るからそれをかわすようなイメージ。
上形 イメージ?
近藤洋 そう。俺めっちゃイメージ持ってるから、来てくれる方が楽しい。
上形 俺もらいにいくじゃないですか、後ろからガンってくるからめっちゃ嫌です。
近藤洋 それもダイレクトでアウトとかインでかわしてやろうって。つっこんできたらかわしてやろうって思ってれば楽しいよ。
上形 洋史にはそれは見えてるんですけど、俺それ見えてないんですよ(笑)それ課題です。周りを見るってこと。
近藤洋 それできるようになれば、サッカー楽しいよ。
上形 サッカー楽しくないっす(笑)
――サッカー楽しくないんですか
上形 いや楽しいっす(笑)
一同 (笑)
近藤洋 高1くらいがその気持ちだった。あれでしょ、自分が後ろ向きでボール落ちてくるのが嫌なイメージ…。
上形 フリーのときはいいんですよ かわせるようにがんばります。
近藤洋 もっともっとね、エースになってほしい。
上形 いや、うまいんですよこいつは。ボールとられないんです。危ない危ないって思っても。そこ頑張ります。
「精神的にも肉体的にも強くなった」
――監督についてお聞きします。監督についてどう思われていますか。
上形 俺超リスペクトしてます。まず高校のOBでもあるし、人間性もすごく良いし、悪く言う人いないと思います。監督が言うことは監督自身が一番取り組んでいることなので言う言葉に説得力があるというか。この人にならついていきたいなという気持ちです。
近藤洋 入った頃は、結構高校の時との違いがすごくあって、自分のサッカーと監督のサッカーとで合わなかったこともありました。でもそれから試合に出させてもらったりとかしているうちに、明らかに高校時代よりも強くなったというか。精神的にも肉体的にも強くなったというのを感じられたので、本当にそこは監督のおかげだと思っています。今ではすごい信頼してもらっているのも感じるので。監督、試合前とかにすごく勝ちたいオーラ伝わってくるんです。監督が一番勝ちたいと思ってるんじゃないかってくらい勝ちたいオーラがあります(笑)なんかそういうの見て、でも監督は実際は試合出れないじゃないですか。監督は選手に、「この試合勝たないと優勝できない」とか1試合1試合に位置づけを持たせて、「だからこの試合に勝たなければいけない」って選手のモチベーションを上げるっていうのをすごくやってて。あとグラウンドのゴミ拾いとかもちゃんとやってて、勝ちたいというのが伝わってくるし。チーム勝つために必要なことは、試合に出られないけど監督は全部やっているみたいな。
上形 一番頑張ってるね。
近藤洋 試合のときにアップする場所とか、掃除したりとか。そういうとこも直接勝利に繋がかはわからないですけど、勝ちに繋がるようなことは小さなことでも全てやっていく。それをすごく見てて感じます。監督が全てベストを尽くしているから、その信頼を感じながら自分が試合に出ると、やらなきゃいけないなと責任と感じます。毎試合毎試合思いながらやっています。
上形 同じ高校っていうのもあるかもしれないんですけど、期待してくれているのか俺に厳しいんです。名指しで、みんなの前で怒られたことも2、3回あって。だからまあ期待の裏返しかとも思うんですけど、厳しい目で見られているなと思います。
――これまで監督に言われた言葉で一番印象に残っている言葉はありますか
上形 これずばっと決めたいね。
近藤洋 俺監督とあんましゃべんないんだよなー(笑)言葉かー…。お前めっちゃ喋るっしょ?
上形 そんな喋らないよ。
近藤洋 俺、驚くほど一対一で話したことないよ。
上形 なんか電話のときに、切り際に「期待してるからな」ってぼそっと。最後にぼそっとそう言ったんです。あれはちょっとまじ泣きそうになりました。
――それはかっこいいですね
上形 かっこいいっす。
近藤洋 やばいな…これ俺なかったらやばくない?(笑)お前あるのに。やばいよこれ、監督見るじゃん絶対。
――特にないですか
近藤洋 やばいやばいやばい(笑)
上形 守備褒められたじゃん。「洋史だけだ」って。「見本となれ」って。
近藤洋 監督結構褒めてくれるんだよね。
上形 洋史のこと褒めるんですよ結構。洋史のこと甘やかしてる。それ書いといてください(笑)
近藤洋 言葉はないですけど、態度というか信頼されてるのかなっていうのをすごく感じるので、その信頼に応えるというのが大事だなと感じています。それを応えるのはやっぱり優勝しかないと思いますね。
――お二人のお互いの印象を教えてください。まずはオン・ザ・ピッチでは
近藤洋 点取る!とにかく点を取る。
上形 これ照れるやつだね。洋史は…お手本。
――オフ・ザ・ピッチの印象は
上形 効率が良い!全てにおいて効率が良いです。勉強の仕方とか、時間の使い方とか。
近藤洋 要領は良い方ですね。単位落とさないです。単位を落とすことは時間の無駄だと思っているので。上形くんは全然授業に来ないんで。
上形 おい!授業は行ってるよ!
近藤洋 上形は…おもしろい!しゃべりがおもしろいのではなくて、行動と態度としゃべりがミックスしておもしろい(笑)やらかしてるもんな。
――おもしろかったエピソードなどありますか
近藤洋 教職の授業で教科書を買わなきゃいけないのがあって、教科書無いと課題できないような。なのにこいつは教科書を買わずに、当日とかに見せてもらってその場でレポート書いてたんですよ。いけるいけるとか言って。けど、テストが教科書持ち込み可になって、教科書無いと絶対やばいのに、「ここで教科書買ったら負けだ」とか言って買わずに受けて、普通に単位落とすっていう(笑)
上形 いけると思ったんですけどね。まあ案の定落としました(笑)教室入ったらみんな教科書見てんだもん。
近藤洋 そりゃそうだろ。無きゃ無理だよ。
――3年目の仲ということですが、第一印象というのはどうだったのでしょうか
上形 俺はこいつやばいって思ってました。10周インターの件で。けど話したら案外おしゃべりだから意外でした。クールな感じですかしてんのかと思ってた(笑)
近藤洋 一番最初はガタイでしょ。完全にポテンシャルタイプだなと。
上形 なんかいつの間にか一緒にいたよね。
近藤洋 そう、俺らの代みんな仲良いんですけど、なんで仲良くなったとかきっかけがあんまりないんですよね。
――サッカー以外のお話も聞いていきたいと思います。お二人の趣味は何ですか
上形・近藤洋 趣味?!
上形 趣味無いよ俺!うーん…。あ、俺卓球好きです。
近藤洋 俺も卓球好きです。
上形 親が卓球やってて、スパルタで教え込まれてました。そこそこやれる自信持ってたんですけど、洋史もなかなかうまくて案外変わんないっていう。
近藤洋 卓球エピソードはいる?(笑)俺ら授業一緒に取ったんですけど、うますぎて先生に体育祭にダブルスで出ないかって言われて。しかも初心者じゃなくてもう一つ上でエントリーしないかって言われました。
上形 経験者ばかりの上級クラスみたいなので、ダブルスで1回勝っちゃったのもあります。
――では、お二人とも趣味は卓球ということですか
近藤洋 二人とも卓球ってやばいだろ(笑)
上形 あ、俺ワンピースオタクです!クイズ出してもらっていいですよ(笑)
近藤洋 浮かばないから、一番好きなシーンにしよう。
上形 うわ、それ悩むな。
近藤洋 俺はもう決まってるよ。
上形 俺は、やっぱりサンジの話です。「クソお世話になりました」っていうところ。
近藤洋 俺、エース死ぬところ。あれはやばいもう。俺お兄ちゃん仲良いから、お兄ちゃんネタやばい。
上形 あれ高校のときでしたよね。ジャンプ買ってるやつが、教室で「エース死んだぞ」って言って、お前ふざけんなよまじで、言うなよってキレましたね。ネタバレが一番ダメです。つまりは、俺の趣味は卓球とワンピースということで。
近藤洋 じゃあ、俺はワンピース含めてマンガが好きです。ワンピース・ナルト・スラムダンク、何でも好きですね。あだち充とか。あだち充のマンガって絶対一緒じゃないですか、それわかってるんですけど、それが良いんですよね。それを分かってほしいよ(笑)
上形 いや、俺はワンピースだな。
近藤洋 ワンピースも良いけど、おらおらおらーって騒がしいじゃないですか。それに比べて静かに恋をして、っていうのが良いんだよ。
上形 こいつ、マンガ読んできゅーんみたいなのしてんの(笑)
――「自分が女子だったらア式の誰と付き合うか」という質問に近藤洋選手は近藤貴選手(MF近藤貴司、教3=三菱養和SC)を指名していますが
上形 まじかよ!(笑)
近藤洋 お前誰書いたの?
上形 俺、あとむ(DF永井あとむ、スポ3=FC東京U―18)。器がでかいから。
近藤洋 あとむはダメだろ(笑)いやー、貴司は笑顔が良いじゃないですか。優しいし。
上形 笑顔がかわいいね。
――近藤洋選手は以前に、「先輩とは仲良いけど、後輩は寄ってこない」とおっしゃっていましたが、最近はいかがですか
上形 間違いないね。話せばこんなんすけど、ちょっと近寄りがたい感じありますよね。ずっと試合に出てるし、いまだに後輩からしたらちょっと怖いんじゃないかな。
近藤洋 困ったよね。いまだにだね。
――先輩とは仲良いと聞いていますが、三竿選手が「この間、試合のハーフタイムに言い合いになって、洋史に『わめくな』って言われて悲しかった」と話していたと聞きました
近藤 あー(笑)。三竿くんもかわいいね(笑)いやー、つい出ちゃったんすよ。紅白戦で前半0―2かな、負けてて。俺が「こうしよう」みたいなこと言ってたら、三竿くんが「違うんだよ。気持ちが足りないんだよ」みたいな感じで俺も言われて。それでまあ…うるさいなって思って(笑)。「うるさい、わめくな」ってつい。いやでもサッカー中だったからそうなっただけで、普段は一緒に築地行ったりして仲良いんですよ!その件に関してはすみませんでしたとしか言えないです。
――J1・大宮で活躍する富山選手の姿には刺激を受けたりしますか
近藤洋 そうですね、俺はJリーグの前にインカレの活躍にすごいなって思って。プロでどうなるのかなとは思ってたけど、あんだけ点取って活躍してて、やっぱすごかったなって思います。
上形 昨年の最後の方、自分の練習にずっと付き合ってくれてました。刺激を受けますね。すごく。
「4年生のために」「夢を与えるために」
――早慶戦に話を移したいと思います。昨年の早慶戦では、上形選手はMVPを獲得しました
近藤洋 いやもう上形に全部持ってかれましたね。
上形 俺は申し訳なかったですね。名前呼ばれた瞬間はやばいやばいって思ってました。まあでも時間経つにつれて逆にうれしくなってきました。
――国立競技場へ思い入れはありますか
近藤洋 ことしで最後なんで、それはありますけど…俺はあんまり無いです。なんか国立って高校サッカーって感じがしない?
上形 いや、国立は夢の舞台だよ。
近藤洋 結構国立よりも埼スタ(埼玉スタジアム)の方が思い入れあったりするかも。
上形 まじで?小学校のときのチームのコーチが、「うちのチームから誰か国立のピッチに立てるやつが出るといいな」って言ってたんで、すごいところなんだっていう印象がありました。国立は歴史あるし、サッカーやる中では一番のスタジアムだと思っています。
――上形選手は早実高出身で、高校生のときから早慶戦を見てきたと思いますが、その舞台に立つというのはどんな思いですか
上形 入場して、客席見て、あの瞬間まじで鳥肌が立ちました。うわ、これかって思いました。洋史なんなかった?
近藤洋 それはなった。人がいっぱい入ってて、すげーって。
――ことしの慶大の印象は
近藤洋 良い選手が多くいるのに、リーグ戦では苦しんでいるなという印象で、アミノバイタルカップで決勝まで行ってましたし、PK勝ちとか苦しみながらも勝っていて。チームとしてだんだん成長しているのかなと感じます。早慶戦では強いんじゃないかなと。
上形 チームの印象は似た感じです。よっち(武藤嘉紀)と峯(峯達也)は中学のときも結構仲が良くて、だからこそ負けられないですね。それによっちは結構上に行ってしまってるので、チャレンジャーの精神で挑みたいです。
――早慶戦ではどんなプレーをしたいですか
上形 自分は点を決めたいです。
近藤洋 俺も点決めたいです。
上形 点を決めて、感動を与えたいです。ちょっと決めすぎた感があるな(笑)
近藤洋 観客席がわーって盛り上がるようなプレーをしたいです。
――「最後の国立」というコピーで2万人集客を目指していますが
近藤洋 最後の国立ということで、来年は国立でできないわけで。
上形 最後だし、たくさんの人に来てほしいです。
近藤洋 みんなチケット売るのも頑張っているし、主務や副務をはじめ学生スタッフがすごく頑張っているし、たくさんの人にみてもらいたいですね。
――早慶戦も3年目となりましたが、早慶戦への思い入れは強くなっていますか
上形 自分はもともとワセダに入ろうと思ったのが早慶戦だったので、思い入れは強いですね。
近藤洋 俺は勝ちたいって思ってたけど、自分の代のとき絶対に勝ちたいじゃないですか。そう考えると4年生も相当な思いで勝ちたいと思っているはずだし、自分が試合に出たら絶対に勝たなければいけないなと思います。
――ことしのMVP予想は
近藤洋 上形洋介でお願いします!2年連続で!
上形 自分が取りたいですけど…
近藤洋 俺が取ります!でいいじゃん(笑)
上形 謙虚に誰でもって思います。
近藤洋 と言いつつ自分ってことですね。
上形 洋史もそんなこと言って取りたいでしょ?
近藤洋 取りたいかどうかだったら取りたいよそりゃ。けどこれMVP予想だからね。
――最後に、早慶戦への意気込みをお願いします
近藤洋 さっきも言いましたけど、絶対自分の代のとき勝ちたいなって思うんです。だからいまの4年生には入部したときからずっとお世話になっていて、自分が試合に出たら、4年生のために勝ちたいと思います。それに準備してくれる人たちの思いもあるので、そういう人たちのためにも勝ちたいと思います。
上形 小さいころから見に来ていた早慶戦で、夢と希望を与えてもらっていたので、きっといまは自分が与える立場にいると思うので、見に来て下さった人たちやサッカーを頑張ってる子どもたちに、夢を与えられたらなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 石原瑞季、松下優、森田夕貴)
◆上形洋介(かみがた・ようすけ)
1992(平4)年生まれ。180センチ、74キロ。東京・早実高出身。スポーツ科学部3年。初の対談取材となりましたが、プライベートではダブルデートをしたこともあるという近藤洋選手との息はぴったり。早慶戦でも2人の連携プレーに期待です
◆近藤洋史(こんどう・ひろし)
1992(平4)年10月12日生まれ。174センチ、66キロ。愛知・安城東高出身。前所属・名古屋グランパスU―18。スポーツ科学部3年。マンガが好きで、あだち充などの恋愛物も好きなのに加え、夜景好きというロマンチストな一面も。東京湾花火のビューポイントを教えてくれました(笑